パライバ・トルマリン
パライバトルマリンは鮮やかな色(青~緑)をしており、たいへん人気のある石です。
他のトルマリンとは違い、銅を含有しているため、海を思わせるようなネオンブルー(~グリーン)という素晴らしい色を造りだしています。また、マンガンとの相互作用により紫・赤紫(濃いピンク)色を造り出します。
最初に発見(1987~1989年)されたのはブラジルのパライバ州にあるバターリャ鉱山ですが、現在、鉱床は枯渇しており、その後はナイジェリアやモザンビークでも産出するこがわかったのですが、各国の鉱山で採取されるトルマリンにはそれぞれ特徴がある上、良質なモノが少ないため、希少という理由から現在、非常に価値が上がっています。
パライバトルマリンの評価基準
高い評価を受けるパライバトルマリンは青い色がはっきりとしたターコイズ(トルコ石)をそのまま透明にしたような深いブルーのものです。また、グリーンを含ませたような深いブルーも人気があります。比較的、緑色が強いモノは評価が落ちますが、色の深さや鮮やかさ、透明度など総合的に判断されるため、色だけで判断するのも難しいようです。
パライバトルマリンの基本データ
英語表記 | Paraiba Tourmaline |
和名 | 銅リチア電気石 |
カラー | 緑~青(空色/蛍光青/藍)、紫、赤紫 |
主要産出国 | ブラジル(パライバ州/リオ・グランデ・ド・ノルテ州)、モザンビーク、ナイジェリア |
結晶系 | 三方晶系 |
化学組成 | 複合ホウ桂酸塩 |
鉱物分類 | 珪酸塩(Silicates) |
硬度 | 7.5 |
屈折率 | 1.622~1.641 |
複屈折 | 0.019 |
分散度 | 0.017 |
比重 | 約 3.05 |
銅とマンガンの相互作用
銅とマンガンの相互採用により緑と青・赤紫と色を造り出すパライバトルマリンですが、緑がかった青一色の安価なパライバトルマリンは赤紫のモノが加熱処理されています。下記の画像はモザンビーク産の天然パライバトルマリンルースで加熱処理石です。それでも輝きがあり、とても綺麗です。
▲ 色はあるが、インクルージョンの多いモノ
▲ 透明度は高いが色が薄いモノ
伝説のバターリャ鉱山
パライバトルマリンが最初に発見されたのは1987~1989年(はっきりした年は定かではありません)で、場所はブラジルのパライバ州にあるバターリャ鉱山です。
エイトール・ディマス・バルボーザという人物により発見されました。7年かけて四箇所を探索した結果、新種のトルマリン(パライバトルマリン)の発見に至ったといわれています。
そして、その新種のトルマリン(エルバイト)をリオやサンパウロの宝石商に持ち込みましたが、最初は全く相手にされませんでした。
そこでエイトールさんは1990年に直接、世界へ売り込む作戦をとり、アメリカのアリゾナ州ツーソンショーへ出品しました。
最初100ドルで出品したパライバトルマリンはその美しさから数日で20倍の価格に上がったといわれています。
その後、更にパライバトルマリンの評価が高まったことで、15年以上に渡りバターリャ鉱山を銃で襲撃する連中が後を絶たななくなり、鉱山付近は24時間体制で双眼鏡と銃を持ち監視する体制を整えなければならない状況になったとのことです。
高品質なパライバトルマリンが多く採れたのは1990年代の初め頃です。現在、鉱床は枯渇しています。
備考
パライバトルマリンの色(ネオンブルー ~ グリーン)の美しさは「銅(Cu)と酸化クロム(Cr)との奇跡のコラボ」といったような解説が幾数かの書籍やウェブサイトで見受けられますが、酸化クロムは関係がないという意見もあります。
参考URL:http://plaza.rakuten.co.jp/kazuw01/diary/200906200005/
確かに海外の鉱物・宝石関連の専門書の中で「酸化クロムの含有」について記載している書物に出会ったことはありません。